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私は大学卒業後、大手建材メーカーの営業マンとして住宅業界に入りました。サッシ、リビング建材、造作材、住設機器、エクステリア、外装建材、さらには断熱工法まで、メーカー営業マンに求められる幅広い知識を一生懸命吸収し、お施主様に様々なご提案をしてきました。全社をあげて目標必達に取り組む環境のなかで、成績・評価を上げるために営業スキルを磨く努力をし、苦悩もしましたが、社会人としての基礎を鍛えていただきました。
お施主様に「より良いものを」とご提案するなかで、見積り金額が上がっても「良いものをありがとう」と、喜んでいただけたことは特に印象に残っています。 一方で、大手建材メーカーではお施主様のご要望にお応えできないケースもありました。「誰も持っていないものが欲しい」「この製品の仕様を少し変えてほしい」等のご要望を、我々が叶えられなかったにもかかわらず、それに応える町工場があることを知りました。こだわりの強いお施主様とお話しさせていただくうちに、自信を持っていた自社の工業製品の限界や、品質の均一性が売りではない手作りの価値を知りました。
そんな時、木製建具を製造していた中井産業との縁がありました。そこで目の当たりにした素晴らしい職人の技術と、何とも言えない「味」のある製品たち。一気に魅了され、木製建具の世界に飛び込みました。飛び込んでみてわかったことは、木製建具の世界は想像以上に奥が深いということ。一生をかけることができる面白い仕事だと思いました。同時に、そのままの建具屋や建具職人ではいけないとも感じました。時代の変化に適応するために、建具屋も変わらなければならない。職人達から教わり、意見を交わし、時間をかけて向き合ってきました。時にはぶつかることもありましたが、その結果、営業の強化、受発注のシステム開発、工場の改善や若手職人の育成など、前向きに取り組む体制ができてきたと自負しております。
職人の心がこもった天然木の製品を、末永く、愛着を持ってお使いいただきたい。そんな私たちの想いを込めた「木と手」が、皆さまのより豊かな空間づくりのお役に立てることを、心から願っております。
中井産業は1935年、紀州和歌山の地で木製建具の製造を開始しました。和歌山は伝統的に近畿圏の建具の製造基地であり、私たちもご注文いただいた建具を製造することだけに特化してきました。
住宅着工数が多く、建具の大量生産が求められた時代には、「建具は職人にしかつくれない」という常識がある中で、NC工作機械を導入した生産工程によって、女性が各所で作業することが可能となり、効率を重視した分業化体制で量産に応えてきました。また、早くからシステムを自社開発し、受注・見積り・伝票作成・寸法計算・出荷等を職人の経験と勘だけに頼らないよう自動化。事務処理や工場作業の品質向上を実現することで、「家内工業」から「製造会社」の形態へ進化しました。
その後、住宅着工数の減少や業界構造の変化等によって、高品質の多品種少量生産が求められる時代となり、私たちは技術力のさらなる向上を目指して、若手職人の育成に力を注いできました。現在では、社寺建具や神具など、高い技術力を必要とする木製品のご注文もいただいております。また、新しい販路開拓のチャレンジとして、自社ブランド「KITOTE」を立ち上げました。デザイン障子を製品化したことにより、建具店様以外の販売店様でも、職人手作りの建具や障子を扱っていただけるようになりました。
今後は、木材の加工について幅広く対応できる「総合木工メーカー」を目指してさらに前進し続けます。
信用第一