中井産業の「木と手」FEATURE
「経年美化」という言葉があります。人工的な化学製品が新品をピークに「経年劣化」するのに対して、「経年美化」とは長い年月を経てものがより良く変化していくことを言います。自然素材である木の製品は、日光を浴びたり、手入れすることによって、味わい深く「経年美化」していきます。さらに強度も伐採後数百年で2〜3割程度強くなり、その後ゆっくりと自然に還ります。
何百年も前に建てられた社寺や古民家などの木造建築は、「経年美化」する本物の木だからこそ、化学製品には決して作り得ない美しさや趣があります。その佇まいに魅力を感じるのは、私たち日本人に備わっている根源的な感性なのかもしれません。
日本人は、古くから木に親しみ、木と共存してきました。使う分だけ伐採しては、将来のために植林し、森とともに生きてきました。縁側を雑巾がけしたり、学校の床をワックスがけしたり、木を手入れすることで、ものを大切にする心も育んできました。
しかし、消費の時代、使い捨ての時代になり、木は化学製品に取って代わられました。それと時を同じくして、ものを大切にするという日本人らしい心が失われたように思います。
私たちは、建具づくりを通じて、日々、木と向き合っています。
木は人に寄り添い、人とともに歳を取り、少しずつ経年美化していきます。また、人も、木のある生活によって、精神的に豊かに、やさしく経年美化していくと思います。
木のものづくりに励むことが、失われた日本人らしい心を取り戻す一助になれば幸いです。
私たち中井産業は、木を敬い、木とともに生きることを誇りに思っています。
徒弟制度の時代を生きてきた職人は、10代半ばで親方に弟子入りし、雑用や先輩の手元をしながら、”見て盗む”ことで技を身につけてきました。そういった職人も大半は高齢化し、まもなく現役から退きます。
一方で、若手職人の不足は極めて深刻どころか、取り返しがつかない状況になってきています。中井産業では、失われつつある職人の技を継承し、新しい世代の職人の育成に取り組んでいます。
熟練の職人は、伝統的な技の習得や継承を、”見て盗め”だけではなく、感覚を数値化・マニュアル化し、若手職人にわかりやすい言葉で伝えます。また、製作物が大型化・特殊化し、NC工作機械の活用が求められる場合は、若手職人が熟練の職人にその操作方法を惜しみなく共有します。
職人である限りは、一生勉強です。中井産業では、20代~60代の職人が世代を超えて互いに高め合い、手加工と機械加工の双方を研鑽することで、技の”幅”をより広げています。
若い世代を育成し、職人の技と心を継承すること。
伝統的な技と最新の技術を融合させ、幅広いニーズに応えること。
そして、全ての職人がひとつひとつの仕事に心を込めること。
これらは中井産業の強みとなり、高品質な製品のお届けを実現しています。
木材は、化石資源を消費してつくる化学製品と異なり、消費しても植林して育てれば再生可能です。この「緑の循環」は二酸化炭素の増加を抑え、地球温暖化防止の効果があると言われています。また、木材を建築材料として製造する時の消費エネルギーは、鋼材の53分の1、アルミニウムの220分の1と極端に少ないことから、木は「エコマテリアル」とも言われています。
性能面においても、木には調湿機能があるので、室内湿度を大きく変化させることなく維持し、ダニ・カビや結露を防ぎます。断熱性能も高く、コンクリートや鉄に比べて熱伝導率が小さいため、温かく手触りが良いだけでなく、冷暖房のコスト削減にも効果があります。
他にも吸音性や遮音性、紫外線を吸収し目の疲れを抑える、木の香りのリラックス効果など、多くの素晴らしい特性があります。
なにより木は生き物であり、自然が育てた木目には同じ物が2つとありません。
中井産業は、木を大切に想う気持ちから、”元気な森林づくり”に取り組む「木づかい運動」に参加しています。